読書感想文 白痴

I'm a hakuchi

雑記8 宗教棚をつくる1

宗教棚に入れることができそうな本をピックアップしていってる。

まだまだそんなに読めてないし、入門的なものがメインになるけど、とりあえず現時点で読んだものたちを挙げてみる。

 

1.


 プロテスタント (シリーズ世界の宗教)

プロテスタント (シリーズ世界の宗教)


 

プロテスタントによれば、救いはキリストの贖いの死を信じる信仰によってのみ得られる。人間を救うのはキリストであって、人間自身ではない。善き業を断念するわけではないが、[...]それは救いとは何の関係もない。

p.89より

 

プロテスタントって、考え方自体はかなり過激だ。カルトすれすれな考え方だと思う。

すっかり権威主義になってしまったカトリック教会に対する「反動」として台頭してきたのがプロテスタント。音楽でいうところのニューウェーブみたいで面白い。

プロテスタンティズムの起源、という章でキリスト教の歴史をさらっと学ぶこともできるのでお得!

 

2.

 聖書―その歴史的事実 (NHKブックス 250)

聖書―その歴史的事実 (NHKブックス 250)

 

聖書は人間が書いたものである。私たちとまったく同じ人間が、昔書いたものである。人間が、神はかく望んでおられると自ら信じながら書いたものである。 だから当然、誰が・いつ・どこで・何のために・なぜ・どのように書いたのかという分析と批評が、許されるし、またしなければならない。

p.25より

 

聖書とは、突然空から落ちてきたようなものではない。当然書いた人間がいる。

現在のところ、複数の宗教家によって著作された文書、P文書・J文書・E文書により構成されていることがわかっている。当然、どの文書も著者の思想が反映されている。彼らが自身の置かれた境遇で、何を心の拠り所としていたかが色濃く反映されている。

聖書に書かれた物語が、突拍子も無いおとぎ話では決して無いことがよくわかる。

宗教というよりは歴史ミステリーのような内容で面白い。

 

3.

 

余はいかにしてキリスト信徒となりしか (岩波文庫)

余はいかにしてキリスト信徒となりしか (岩波文庫)

 

 

余ノ霊魂ノ救拯(救い)ハ、余ノ霊魂ト此ノ世ノ運命トノ状態如何ニ全然無関係ナリ。[...]否!救拯ハ神ノモノナリ、
而シテ如何ナル人モ物モ境遇モ余ヨリ其ヲ奪フコト能ハズ。其ハ山ニモ優リテ確実ナリ。

p.167より 括弧内、引用者註

 

新渡戸稲造の影に隠れた偉大な宗教家、内村鑑三の自伝的な作品である。

上記の引用を見る限り、「救いはどこまでも神のものである」という救済観は凄くプロテスタント的である。神が人を救うんだから教会はいらないよね、というのが彼が提唱した無教会キリスト教である。(ついでに言うと、無教会キリスト教自体はプロテスタントではない。というか否定している。)

内村鑑三愛国心と信仰心がガッチリかみ合った人物で、要所でみられる決意表明も迫力がある!

 

4.

 

 

苦難が個々それぞれの苦難のまま閉ざされて、その経験がなかなか共有されないなかで、私たちは生きる意味を分かち合うことはできるのか。[...] 苦難のなかに身を投じ、文字通り死に直面しながら、共有できる希望を体現していくような人物像が求められる。

p.236

 

色々な作品を題材に、その根底にある宗教性に読み解く、という本。そこまで物語と宗教の関係性が見えてこないので、その点では少し期待はずれだった。

しかしながら、扱っているテーマが「死」、「弱さ」、「悪」、「苦難」とハードなものなので、取り上げられている作品自体が良いものだし、えぐいものも多い!この本をきっかけに読んだ作品も結構ある。

題材とされている作品の作者は右のとおり。アンデルセン武田泰淳星野智幸・深沢七朗・石牟礼道子遠藤周作カズオイシグロなど。新約聖書観無量寿経法華経からの引用もある。あと、変わったとこでは西加奈子いとうせいこう等等。

 

5.

 

イスラーム文化−その根柢にあるもの (岩波文庫)

イスラーム文化−その根柢にあるもの (岩波文庫)

 

 

これは一度読んだのに全く覚えていないから、もう一度読む。

 

6.

 

イスラームを知る32章

イスラームを知る32章

 

 

イバーダートとはアッラーに仕えること、そのしもべとなることである。[...]ムスリムにとってイバーダートとは、特定の儀礼や礼拝を行うことに限定されるようなものではなく、毎日、一日中、意識して神の存在を感じ、日々の営み全般において意識的に神の意志を遂行しようとすることも含んでいる。

p.70より

 

イスラームについてのざっくりした歴史(ムハンマドの一生から主な継承者まで。)・信仰・生活様式について基本的な部分を網羅している。とくにイスラームの生活についてかなり詳しく説明されている点が良い。

とにかくイスラームの信仰は生活の慣行に食い込んでくる。(一日5回の礼拝、食べていいものダメなもの、断食、など。)それは、「常に神が自分を見ている」という意識から来ているわけで、それが無宗教との大きな違いなんじゃないかと思う。

ちなみに、ムハンマドの時代から積み重ねられたこういった慣行のことを「スンナ」といい、これを重視するのがスンナ派である、という説明があってなるほど!

 

 

宗教棚、まだ6冊しかない。

 

以上