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読書感想文10 もっとお堅い猫本が来るべき 薬袋摩耶『真夜中に猫は科学する エクレア教授の語る遺伝や免疫のふしぎ』 を読んで

真夜中に猫は科学する エクレア教授の語る遺伝や免疫のふしぎ

真夜中に猫は科学する エクレア教授の語る遺伝や免疫のふしぎ


亜紀書房

2015年 4月30日 初版

概要

猫が夜な夜な行っている集会は、実は科学の講義だった。
という体の物語。
主人公猫のエクレアが、飼い主宅で聞いた科学談義をもとに
夜の集会で他の猫たちに講義する、というかたちで各章が前後編構成になっている。
(この二人は一緒に暮らしているが、夫婦じゃないみたいで、少しややこしい。この設定いるか?)

講義のテーマは
・ウイルス
・ワクチン
・免疫
・DNA

など。思いのほか堅い。
正直こういう話題はそれなりに堅い本で読みたかったな。。。という感じ。


僕は最初、猫「を」科学する本だと思っていたんだけど、
猫に関する科学は冒頭に猫の眼の仕組みについて説明があるのと、
最終章に猫の毛色についての遺伝子の話があるぐらい。
ちょっと期待はずれだった。
だけど「オスの三毛猫は不妊」の根拠が詳しく書かれている最終章は
読み応えがあるし、なるほど!と勉強になる。
もっとこういう話題にページを割いて欲しかった。

もっと”堅い”猫本が注目されるべき

猫ブームと言われて久しい。
あくまでコンテンツとしてだけど、猫は大人気だ。
猫に関する本もよく見かける。
だけどよく目にする猫本は写真集とか飼い主のエッセイで、
猫について本気で科学をしている読み物はあまり目立たない。

僕はもっとそういうお堅い猫本が流行ればいいと思う。
写真集やエッセイが伝えんとすることは「猫はかわいい」である。
そしてコンテンツとしての猫の消費方法は「かわいい!」と共感することである。
しかし個人的には「なぜ、猫はかわいいのか」という興味をもち、そこに科学的な理由をつけるのも楽しいんじゃないかと思う。

例えば、猫は犬と違って鎖骨があるため、猫パンチとかチョイチョイができる、だからかわいい。
猫のヒゲの根元には水がたまっており、それが振動を伝えているのでセンサーの役割になっている。
だから口元がぷっくりしてかわいい。

みたいな。あまり科学的な例ではないけど。

しかし、「かわいい!」とか「おいしい!」とかいった情緒的なことに
理由をつけるのは野暮なことだと言う人もいると思う。
だけどそういった情緒的な感動がどうして起こるのか、その根拠を知ることで、なるほど!という別の快感も得られるのだから、これは一粒で二度おいしいことになる。
事実、本書の三毛猫の話はかなり面白かった。

そういう本は既に存在しているはずなので、是非読んでみたいと思う。

以上。