読書感想文3 家族は安全でなはい 斎藤学 『依存と虐待』を読んで
概要
共依存について
家族関係の悩みについてネットの記事を読むと、よく「毒親」という概念を耳にする。これは子供の毒になる親のことで、過干渉や虐待などで子供の発育に悪い影響を及ぼす親のことをいう。生きづらさの原因を親に求める場合、自分が被害者だと一方的に思いがちだ。だが実際はお互いがその関係から抜け出せなくなっている共依存にあることが多い。真に必要な解決策は、子による「親離れ」と、親による「子離れ」だ。もしも、家族との関係に問題を抱えているなら、あなたのするべきは彼らと「対決」することではない。また、自分が強くなって「成長」することでもない。特殊な人間関係を解消することに全力を傾けることだ。
家族は安全ではない
本書で紹介されている事例や自身の経験からいえることは、家族は思ったよりも安全ではないということだ。その私的な空間では公の法律は適用されない。小さな子供にとって、荒んだ両親は恐怖の対象で、その影響は絶大だ。(問題のある家庭で育った子供もまた、共依存となる可能性があるといわれている。)家族はあたたかいものという価値観を押し付けようとし、世間はこの問題から目を逸らそうとする。アメリカでは親による性的虐待という問題が公に認められ、議論されるまで非常に時間がかかったそうだ。
僕自身も、言い争いをする家族や、女性に暴力を振るう父に怯えながら部屋の片隅で震えていた経験がある。今にして思えば、「弱くて可哀相な父親」と「女手ひとつで子供を育て上げた母」に対して離れることも反発することもできなかった、そういった歪んだ人間関係があったのだと思う。結婚をして本質的に家族と離れることで、僕は改めて家族の危険性を客観的に理解することができた。