読書感想文 白痴

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読書感想文11 KAZUO ISHIGURO 『NEVER LET ME GO(私を離さないで)』神なくしてどう生きる。

Never Let Me Go作者: Kazuo Ishiguro出版社/メーカー: Faber & Faber発売日: 2011/12メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (2件) を見る Faber and Faber Limited 2006年 (2005年 初版) 訳書を過去に読んだことがあったの…

読書感想文10 もっとお堅い猫本が来るべき 薬袋摩耶『真夜中に猫は科学する エクレア教授の語る遺伝や免疫のふしぎ』 を読んで

真夜中に猫は科学する エクレア教授の語る遺伝や免疫のふしぎ 亜紀書房2015年 4月30日 初版 概要 猫が夜な夜な行っている集会は、実は科学の講義だった。 という体の物語。 主人公猫のエクレアが、飼い主宅で聞いた科学談義をもとに 夜の集会で他の猫たちに…

読書感想文9  タテ社会の何が厳しいのか 中根千枝 『タテ社会の人間関係 単一社会の理論』を読んで

講談社現代新書 0105 2016年11月1日 第127刷 (1967年2月16日 第1刷) 年功序列やら終身雇用やらの文脈で、「日本はタテ社会だ。」なんていう言説は腐るほど聞いてきたが、えらい昔にこのトピックについて書いた本があったようである。 この本、とにかくタテ社…

読書感想文8 哲学は訳がわからないということがわかったということ 中島義道 『哲学の教科書』を読んで

講談社学術文庫 1481 2016年4月21日 第41刷 (2001年4月10日 第1刷) この本は読んでよかった。自分にとってかなりの大躍進であった。 概要 普通、哲学の教科書となると、 「哲学は植民都市ミレトスの自然哲学者を起源とし、、、」 「ソクラテスは紀元前470年…

読書感想文7 優生思想に反対する三つの利己的な理由 『現代思想 2016年10月号 相模原障害者 殺傷事件』を読んで。

青土社 2016年10月1日 概要 2016年7月26日に神奈川県相模原市の障害者福祉施設で発生した事件。所謂「相模原障害者施設殺傷事件」をうけての緊急特集である。11人もの学者・専門家たちの論考が特集として組まれている。 その多くが「優性思想」について語っ…

読書感想文6 であるべきと、であるについて。 スティーヴン・ワインバーグ『科学の発見』

2016年7月15日 第5刷(2016年 5月10日 第1刷) 概要 ノーベル物理学賞を受賞した学者、スティーヴン・ワインバーグによるいわゆる科学史。特に「現代の基準で過去の科学を批判する」というズルイ姿勢が大きな反響を呼んだらしい。古代ギリシャの物理学から始ま…

読書感想文5 使命をもって生まれてくるということ  カズオ・イシグロ 『わたしを離さないで』 【ネタバレ】

2006年 6月25日 第4刷(2006年 4月30日 第1刷) 重大なネタバレがあります。 概要 作者は長崎生まれの日系英国人。ブッカー賞受賞作家の長編ということで注目されたらしい。確か、日経新聞の文化欄に同作者の『浮世の画家』が紹介されていたのが興味を持った始…

読書感想文4 育ててもらった恩という弱み 夏目漱石 『道草』を読んで

新潮文庫 なー1-14 2002年4月20日 第91刷 (1951年 初版 発行) 概要 漱石の自伝的作品。彼とその家族、そして少し複雑な生い立ちがモデルになっている。 大学の教師として働き、妻と二人(最終的に一人増えて三人)の子供を養う主人公、健…

読書感想文3 家族は安全でなはい 斎藤学 『依存と虐待』を読んで

日本評論社 こころの科学セレクション 2005年10月30日 第1版 第7刷 (1999年2月10日 第1版 第1刷) 概要 虐待が起こった家族にみられる心の病や、問題を抱える家族が抱える依存症について、複数の小論文やエッセイをまとめたもの。精神医学…

読書感想文2 文三のルサンチマンについて 二葉亭四迷 『浮雲』

岩波文庫 31-007-1 1992年 4月15日 第59刷 (1941年 3月24日 第1刷 本書の初版) 概要 1887年から1889年にかけて発表された作品。3編第19回で未完となっている。物語は以下の人物の三角関係を軸に進む。 内海文三...学問はできるが世渡りが下手 本田 昇...要領…

読書感想文1 角井亮一 『物流がわかる』

日本経済新聞社 日経文庫1662012年9月14日 初版第三刷 概要 物流の基本的な役割と概念を説明し、具体的な企業名を挙げて事例も紹介する。全Ⅵ章あるうちのⅡ章の2節・3節、Ⅲ章とⅣ章の全体と本書の三分の一を物流戦略の実例が占めている。いまや世…